棋聖戦 羽生棋聖VS豊島七段
第2局は後手番の豊島七段が競り勝ち1勝1敗のタイにした。
矢倉先手番の苦戦と言われているが、これは主力の4六銀-3七桂型が後手の新たな対抗策に苦戦しているのが主因。
この棋聖戦も2局とも矢倉後手番が勝利し、ますますその評は強くなったかのように思われるが、矢倉戦全般において先手が苦戦しているわけではない。ただ、主力戦法の指しやすさに依存してきた分、他の戦型での熟練度が不足しているためと考えられる。そのうち、先手矢倉が盛り返すと見ている。また、4六銀-3七桂型においても先手の新工夫が開発される可能性も低くはない。
実際、昨日の第2局は、作戦的には成功の感触があった。先手の羽生棋聖は早いタイミングで▲3五歩と突く最近では珍しい手法を採り、△3三桂と跳ねさせられた辺りでは、豊島七段もやや自信がないようであった。
しかし、△4二角と上がって先手の7五の銀にプレッシャーを掛けたのが巧妙で、羽生棋聖の攻撃にカウンターを決めた。6六の歩の垂らしと跳ねさせられた桂が4五で威力を発揮、また、角も1五角へと気持ちの良い活用ができ、豊島七段の会心譜となった。
羽生棋聖はやや前掛かりの攻撃となってしまった感がある。左の銀を犠牲にと金を作ったものの、そのと金を守るためにと金の尻に歩を打つのでは変調。また、5五に出た角も△5四銀に対し2八に引き、直後の△4六歩の突き捨てに▲同角と引き寄せられ、後手のカウンターを受ける因となってしまった。素人考えだが、△5四銀には▲6四銀と決戦に出た方がよかったように思う。
第3局は大きな一局となるが、戦型も注目される。
王位戦 羽生王位VS広瀬八段
挑戦者決定戦で菅井六段を破った広瀬八段が挑戦権を獲得した。
深浦王位を4勝3敗の激闘の末、新王位についたのが5年前。翌年、挑戦者に羽生二冠(当時、王座・棋聖)を迎え、これまた3勝4敗の激闘の末、失冠している。
当時も攻守の玉の距離感の見極めが鋭く、羽生二冠をあっという間に土俵の外に持っていったり、深浦王位との玉と玉とが対峙する接近戦を制した強さが印象に残っている。
現在は居飛車党に転身したが、終盤の妖気漂う強さは健在。羽生王位にとって油断のできない相手である。
竜王戦 第27期竜王 糸谷哲郎
決勝トーナメントの顔ぶれが出そろった。4~6組は4月29日記事時点での顔ぶれからすると、一番の有力棋士が勝ち上がった。
竜王戦でのこれまでの戦歴に注目すると、1組3位の豊島七段…6組・5組・3組優勝、2組優勝の稲葉七段…6組・5組・4組・2組(今年度)優勝、4組優勝の永瀬六段…6組・5組・4組(一昨年度、今年度)と、各組で優勝する棋士が多い。永瀬六段は一昨年度4組で優勝し3組に昇級したものの、昨年度は連敗し4組に降級し、今年度再び4組優勝するというエレベーターぶり。
羽生名人は第1期では4組で参加し優勝。翌期は3組で優勝、挑戦者決定トーナメントを勝ち上がり、島竜王を4勝3敗1持将棋の末、竜王位に就いている。翌3期に谷川王位の挑戦を受け1勝4敗で失冠。4期は1組に参加し、ランキング戦1回戦で脇七段に敗れ、出場者決定戦1回戦で南王将に敗れ、さらに、残留決定戦で加藤九段に敗れ、2組に降級している。翌期、2組で優勝し、決勝トーナメントも勝ち上がり、谷川三冠を4勝3敗で破り雪辱を果たしている。以降は1組以上をキープ、16回目の本戦トーナメント進出。優勝は4組~1組まで経験している。竜王獲得は6期。
羽生名人に次ぐ出場回数15回を誇るのは1組4位の佐藤九段(竜王位1期)。3番目は1組5位の藤井九段(竜王3期)と豊島七段の5回と減り、常連の森内九段、郷田九段、丸山九段、深浦九段らの顔が見られない。出場4回は、1組2位の阿久津八段、3組優勝の真田七段(第10期挑戦者)、2組優勝の稲葉七段、4組優勝の永瀬六段。
2組2位の渡辺棋王は、何と2回目。竜王を9期も獲得している(永世竜王)のが原因だが、『週刊将棋』の「11期ぶり2回目」という表記は何とかならないのだろうか?
初出場は5組優勝の斎藤六段と6組優勝の千田五段。
トーナメントの左の山は、パラマス方式でスーパーシードの羽生名人が待ち受ける。
まず、6組千田、5組斎藤、4組永瀬の若手つぶし合い戦。以前も述べたが、この方式、何とかならないモノだろうか?物理的に、6~4組の優勝者のうち一人しかベスト8ラインに進めないのは、おかしいと思う。
その生き残り者が、藤井九段、佐藤九段と対戦するのだが、この2棋士を連破するのは難しそう。羽生名人にとっては、佐藤九段、藤井九段とは相性が良いので、羽生名人の挑戦者決定戦進出の公算は大きい。
右の山だが、やはり、渡辺棋王が最有力、対抗は豊島七段、次いで稲葉七段。2組のランキング戦の決勝で、渡辺棋王は稲葉七段に敗れているが、仮に渡辺棋王が稲葉七段に勝っていたら、初戦で豊島七段とぶつかっていた。2組の優勝賞金は350万円、準優勝は90万円と差が大きいが、組み合わせ的には豊島七段と稲葉七段がつぶし合ってくれるので幸運だったかもしれない。(阿久津八段、真田七段を軽視してしまい、申し訳ありません)
話が脇道に逸れるが、1組優勝賞金450万円、準優勝110万円と比較すると、2組の賞金が高いと思う。
あと、不満なのが、中継サイトが怠慢すぎる!
未だに、昨年のトーナメントを張り付けたまま。毎年のことだが、やる気なさ過ぎ!
王座戦 第62期王座 羽生善治
決勝トーナメント1回戦は、
○丸山九段×屋敷九段、○佐藤天八段×阿久津八段、○渡辺棋王×永瀬六段、○稲葉七段×中村太六段、
○久保九段×深浦九段、○佐藤康九段×佐藤紳六段、○山崎八段×森内九段、○豊島七段×三浦九段
森内九段が敗れた以外は順当に近い。(丸山×屋敷戦と稲葉×中村太戦はどちらが勝っても不思議はないが)
準々決勝は
丸山九段×佐藤天八段、渡辺棋王×稲葉七段、久保九段×佐藤康九段、山崎八段×豊島七段
いずれも楽しみな顔合わせ。
この中で、既に渡辺棋王が稲葉七段を破り、ベスト4に進出している(竜王戦2組決勝の雪辱)。
棋聖位への挑戦権を争った佐藤天八段、豊島七段はここでも勝ち上がっている。
銀河戦 第22期優勝 渡辺明
トーナメントの各ブロックが大詰めを迎えている。
注目はAブロック。2回戦から登場した西尾六段が村中六段、高見五段、大平五段、脇八段、片上六段、畠山成七段、中田宏八段、橋本八段、谷川九段をなぎ倒し、九人抜きを果たし、残るは渡辺棋王のみ。もちろん、決勝トーナメント進出は連勝者枠で決定している。
実は、注目しているのは西尾六段ではなく、西尾六段が最終戦で渡辺棋王を破った場合の本戦出場者。
規定では、決勝トーナメント進出者は最終戦の勝利者と最終戦勝利者を除く最多連勝者(連勝数が同じ場合は上位者)となっており、渡辺棋王が勝てば最終戦勝利者となり本戦出場、西尾六段は最多連勝者で本戦出場。
西尾六段が最終戦で勝った場合、西尾六段以外の最多連勝者は……1回戦で中島灯希アマを破った村中秀史六段となる。Aブロックランク11位(下から2番目)で1勝したのみで決勝トーナメント進出となってしまうのである。
最終戦・渡辺×西尾戦はすでに5月8日に行われているが、その結果が気になる。
ちなみに、ランク最下位者が最終局まですべて勝った場合はどうなるのだろうか?